100年の孤独

I only sleep with people I love, which is why I have insomnia

風立ちぬ、いざ生きめやも


スタジオジブリの最新作「風立ちぬ」を見てきました。
実は「ジブリ」というのが北アフリカに吹く熱風「ギプリ」の誤読からつけたと何かの記事で読んでいたもので、つい最近までこの映画はジブリの創設物語だと勝手に勘違いしていたんですが、そんなことでは全くなく、第二次世界大戦中の飛行機の開発者のお話でした。
一言でいって、とても美しい映画です。

ジブリの映画としては意外なほど割り切って大人向けに作られた作品でびっくりしました。
主人公は、高い志と、とても真っ直ぐな情熱を飛行機開発に注ぎます。
軍から受注するそれが人を殺すための道具であることは明らかですが、それによって主人公の精神の気高さ、美しさ、誠実さが損なわれることは微塵もない。劇中で象徴的に使われる煙草には、そんな現実の矛盾が託されているように見えたのは考えすぎでしょうか?
象徴的に使われているモチーフは他にもあります。「夢」そして「何かを捕まえる」という行為も劇中に何度も繰り返されます。
このように物語がとても実写映画的な、ともすればアートフィルム的な語り口になっていたのも驚いた点です。

演出や脚本にばかり感想が集中しましたが、勿論「きれいな絵が気持ちよく動く」という根源的なアニメーションの快楽が高いレベルで結実しているのは流石の一言です。俺にはそれについて語るにたる知識も教養もはないので、感想以上の何かをここで言及するのは避けますが、こういうアニメ映画を見ると、それについて語る文脈を持っているアニヲタのみなさんが羨ましくなりますね。

昨日、現場で出合ったヲタ同士の入籍の知らせを受け、今日は御殿場まで5年前に死んだヲタの墓参りに行ってから、レイトショーでこの映画を見ました。朝から動き回って疲れていたけど、今日この映画を見に行って正解でした。とても美しい映画です。