100年の孤独

I only sleep with people I love, which is why I have insomnia

ジューシー・フレグランス

あぁ・・・私の番ですね。はい。じゃあ、手短に。これは私達たちが実際に体験した話です。
私たちってレコーディングまでしてお蔵入りしたシングルがあるんですよ。「ジューシー・フレグランス」っていう曲なんですけど。ファンの人は結構知ってる人も多いんじゃないかな。これ、出せなかった理由を今まで言ってなかったんですけど、実はこれ、いわゆる心霊CDなんですよ。入っちゃってるんですよね。ありえないはずの声が。ホントホント。ホントです。で、実は、今日持ってきてるんですよ。あ、出してもらえますか?大丈夫ですか?はい。じゃあ、聞いてもらうのがやっぱり一番いいと思うので。問題のところだけ。じゃあお願いします。

聞こえました?聞こえましたよね。これ、技術的にありえないらしいんですよ。こういう音が取れるのって。専門家にチェックしてもらいました。スタジオの音響担当の人です。聞いた瞬間に、「ああ、これはこの世のものじゃないです」ってあっさり言われました。ええ。聞いた瞬間です。私も不思議だったんで、その場で質問しました。なんでそんなにあっさり「この世のものじゃない」なんて言えるんですかって。そしたら、「このレコーダーの内蔵マイクは<なんちゃってステレオ>なんです」ってその人は説明してくれたんです。要するに録音機能としては左右のトラックに分けて録音できるんですけど、内蔵マイクだから指向性がすごく低くって、現実にはほとんど左右に分かれてなくて、どちらのトラックにもほぼ同じ音量で録れるのが普通なんですって。でもこの

『いたあい・・・いたあい・・・』

って声は、左側のトラックにしか入っていないんです。・・・これ、もう消すんですよね。はい。・・・じゃあ次は、のっち。