100年の孤独

I only sleep with people I love, which is why I have insomnia

サマー・ピープル


「人生は空しい」と思って、ふと気がついてみると、お腹が減っていたということがある。
降り注ぐ日差しの下、浮き輪に尻をはめるようにして海面をプカプカと漂いながらバカンスの憂鬱に浸っているとあっという間に時間は過ぎるし、徐々に沖に流されてライフセーバーのお兄さんに注意される。
散々飲み食いして帰って、冷蔵庫を開けたら賞味期限がとっくに切れている牛乳が未開封のまま転がっていた。沸騰すれば飲めるかなあと思ったが、開けたら憂鬱な匂いがしたので、そのまま流しに捨てた。だぶだぶ牛乳を流しながらチリチリとした日焼けの痛みと共にちょっとした背徳感を弄んだ。俺の貢献で世界は少しミルキーさを増したのだ。白く汚れていくシンクとみなとみらいの夜景を見比べると、まだまだ牛乳が足りないなというこころもちになった。空になった牛乳パックをぺこりと潰して振り返ると、暗い部屋のテーブルに映った二階の部屋の明かりが四角く、それは誰かの怒りのようにくっきりと美しかった。