100年の孤独

I only sleep with people I love, which is why I have insomnia

こんばんわ。椎名彩花です。

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とても好きだという理由で、とても嫌いだった人がいた。昨日、バイトを急に辞めてヒマになったもんだから、何か夏らしい事を、と思いたってプールに行ったら、彼女と久しぶりに会った。

彼女は相変わらずきれいだった。きれいな鼻をしていたし、きれいなことを言った。ドブ川にさっと投げ入れられた真っ白いドジョウみたい。私はちょっとたまらない。

彼女が泳ぐのをずっと眺めていた。ときどき人を好きになるけれど、私はそんなとき、なるべくその人から才能を差し引こうとするし、なるべくその人の世界をじっと見ないようにする。だって私は他人の世界が欲しすぎる。他人に憧れすぎるし、妬みすぎて、目が潰れるから、無残だ。誰かが見る世界がいつも欲しい。何かをねだるような気持ちで映画を見て、本を読んで、ついにはそれが私の物にはならないということを悟って、めそめそと涙を流すのです。私は私の胃のなかにいっぴきの亀を飼いたい。世界で一番きれいなのがいい。甲羅の上に蓮の花が咲いている。そして私はその亀と蓮のために毎日ドブを飲んでいる。何かを引き当てようとするみたいに。

そんな悲しい想像をしていると、あんまり私が無残で、あんまり私がかわいそうだから、だから、人を好きになるときになるべくその人の才能を削いで削いで、笑ったときの睫毛の揺れる感じだとか、クロールのとき、水を掻き分ける腕の動きだとか背筋の動きだとか、そういうのだけを愛そうと決めていたけれども、うまくいったことなんて、そういえば一度もない。