100年の孤独

I only sleep with people I love, which is why I have insomnia

こんばんわ。椎名彩花です。

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気まぐれに3年前の日記を読み返すと、今と同じ漠然とした閉塞感に打ちのめされている自分がいて、その成長の無さに絶望した。
私の体が細胞分裂をおこなっているのはもはや成長のためではなく、ただひたすらに命を使い切るためなのだとおもうとたまらない気持ちになる。

 

今日は朝から映画を見て、散歩をして、公園で寝転んで、スーパーでニラを買った。
朝の空気は全てを後回しにしてしまいたいくらい冷たくて、本当はベッドの中で行かない言い訳を、だいたい十五通りくらい考えたんだけど、さいわいどれもかなり不出来だったから、使わないことにして家を出た。
映画館に行くのは久しぶりで、開演よりも少し早く着いてしまったんだけど、ふたつ隣に座った男の人がしきりになにかしゃべっていて、それがすこしも聞き取れなかったから、私に話しているのではないだろうと思ってたんだけど、ちらっと盗み見たらすごく目が合って、それでやっと私に話していたことに気づいた。どうやら私がアイドルだったときを知っている人だったみたいで「握手とかは行かなかったんだけど、ライブにはよく行ってた」って言ってた。そのまま予告編が始まるまでふわふわした世間話をして、私は三秒に一回嘘をついた。映画は期待外れだった。

 

期待外れの映画のパンフレットをナゾの義務感にかられて買って、やさぐれたきもちで町をてくてく歩いていると、お金持ちがつれた金髪の犬に吠えられた。それで足りないのは余裕だろうかって思ってファミチキを食べてあくびばっかりした。

公園に着いてテーブルを探していたら、大きな池の水が抜かれて、もの悲し気な地肌があらわになっていた。テーブルを探すのをすぐにあきらめたのは、日差しが暖かくてあんまり気持ちよかったからが半分。もう半分は、ポケットに入れたファミチキがひどいことになっていたから。ポケットの裏地があぶらでテカテカで、そらそうよねってなった。

私のことを勘定に入れて自分のことを話す他人に恐怖してばっかりだから、私の知らないものばっかり好きなひとを好きになる。ショーウィンドウのマネキンの表情をまねしながら、君のクールなところが好きだ、って芝生に寝転がったまま虚空に話しかけた。

 

「俺の知人にリスカする奴がいたら殴ってでもとめる。それが人間としての正しさだ」みたいなことを言ってる人がいて、この人は精神科で顔面パンチが有効な治療法として採用されていないことを疑問に思ってたりするんだろうか。ぼんやりと、そんなことを考えながらスーパーを歩いていたら、カートで自分の足を轢いた。いたい。小さい頃よくしたなぁと思った。
小さい頃カートでよく自分の足を轢いていた。ぼんやりしてたんじゃなくてカートが重くてうまく操れなかった。(むかしは、今より、ぼんやりしてなかった)。ふらふらって知らない人の背中に突っ込んだりもよくした。スーパーの出口がわからなくなって、近くにいたおにいさんに出口はどこですかと聞いたら僕店員じゃないですと言われたこともあった。
成長した私は店員でもないのにスーパーの出口を知っていてとてもえらい。
というばかなことを考えながら買い物をして帰って、ネギと間違えてニラを買ったことに気付いて自分に失望した。何も成長していない。ニラなんていらない。