100年の孤独

I only sleep with people I love, which is why I have insomnia

電話会社によろしく


奇人のキャシーは爪先にいろんな色を塗り
鼻には歯列矯正器をしっかりとはめていた
彼女がついに喋ったとき、彼女の眼鏡が振動で割れ
彼女が部屋にいると誰もタバコを吸えなかった
天使の心を持つハークは歌いながら電話を取った
その力強い手、神は教えなかった
散らばるエンジェル・ダスト
電話会社によろしく言ってくれ

"Hangin' 'Round" ルー・リード

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「私って、キスする時、目、つむらないんだよね」
終電間際の東横線車内で女の子に出会った。彼女は携帯電話で友人と話していた。彼女の容姿は決して恵まれたものではなかったが、人間の価値は容姿では決まらない。もし彼女が食肉用に加工されたら、平均的な女性の1.5倍の価値はあったろうし、彼女の声は美しかった。彼女は足の爪を様々な色で塗り、携帯電話は何だか俺にはよくわからない素材のピカピカした石で脅迫的に飾りたてられていた。俺は彼女をキャシーと名付けた。「黙れブス」というバイブスが車内に溢れていた。キャシーは続ける。「昔、キスしてる最中にね、元カレに財布スられた事があってさ」
天啓かと思った。俺がミュージシャンだったら、絶対歌にするのにな。散らばるエンジェル・ダスト、電話会社によろしく言ってくれ