100年の孤独

I only sleep with people I love, which is why I have insomnia

こんばんわ。椎名彩花です。

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今日も公園で芝生に寝転がって本を読んでいた。

ここ最近はずっとここで本を読んでそのまま流れるようにうたた寝にスライドするのが日課になってしまった。慣れというのは本当に恐ろしいもので、公園を横切る園児たちも鳩に餌をやるおじさんもすでに私にはなんの関心も払わなくなって久しい。鳩にいたってはどこか私の事をなめてかかっているところがあって、私が寝ころがっていると無警戒に寄ってきて耳元でボーボー鳩語で悪態をついてくる。今日も耳元でボーボー言われながらうとうとして、そのまま30分くらいすっかり寝入ってしまった。

 

あらやだと思って目を開けたら葉っぱが降っていた。鳩と鳩にパンくずをやったおじいさんがまだいた。なんという季節だと思った。葉っぱがさんさん降り続いたから、私と私の開きっぱなしの鞄はうずまっていった。たくさんあるなと思った。たくさん、たくさん、たくさんだなと思った。とてもじゃないけれど息ができない。私は日差しのなかにいた。真っ赤な葉が日光をきらんきらん反射していた。老いの際がこんなにも美しいなんてなんだかずるいじゃないか。呆然とする私の上に落ちてきた一枚の葉を物分りよくポケットに引き受けると、不思議と涙がこみ上げてきた。かたわらでは虚ろな目をした鳩がボーボー言っている。なんだか無性に腹が立って「見ないで」と泣きながら落ち葉を一つかみ鳩に投げつけると、鳩はボーボーいいながら飛んで行った。